第244章

小林絵里は彼の端正な横顔をにらみつけたまま、問い詰めた。

「いったい、どうしたら……子玄さんを許してくれるの?」

 坂田和也はソファに深く腰を沈め、すらりと伸びた脚を組んでいた。目の前に立つ女を見上げる瞳は暗く、底知れない。今すぐ追い出したい――そう言わんばかりだ。

 ほかの男のために、わざわざここまで来て頭を下げるなんて。

 しかも、あんなに親しい口ぶりで。

 代わりに? あいつの代わりに?

 ――俺は何なんだ。

 あんな男が、そこまでしてもらえる器だっていうのか。

 視線を浴びた絵里は背筋がぞわりと粟立つ。逃げ出したい。けれど、病院にいる斉藤子玄の顔が浮かび、足を止めた。...

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