第254章

小林絵里は呆然と彼を見つめた。彼の服は血まみれで、真紅が視界を焼く。

「小林絵里?」

反応のない彼女を見て、坂田和也の顔色が変わる。怪我をしていないほうの手で、そっと頬に触れた。

「わたしは大丈夫……あなた……あなた、怪我してる。病院に行きましょう」

その言葉で我に返った小林絵里は、慌てて立ち上がって彼を支えようとする。だが恐怖の緊張が解けた途端、膝がふにゃりと崩れ、転びそうになった。

坂田和也がすぐに腕で引き寄せて支える。

「どうした。歩けるか?」

「大丈夫、わたしは大丈夫……でも、あなたの手……血だらけ……」

「平気だ。心配するな」

心配しないなんて無理だ。相手はチベタ...

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