第259章

小林絵里はがばっと身を起こし、目の前の光景に息をのんだ。――ここは自分の部屋じゃない。主寝室だ。

どういうこと?

なんで、わたしが主寝室に?

慌てて自分の服を見下ろす。乱れていないし、身体にもだるさや痛みはない。小林絵りはそれに気づいて、ようやく胸の奥の力を抜いた。

「何を心配してる」

そのとき、かすれていて、どこか気だるげな声が響いた。

振り向くと、坂田和也が目を半分だけ開けたままこちらを見ていた。起き抜けなのか、全身から淡い倦怠感がにじんでいる。

「どうして……わたし、あなたの部屋にいるの?」

坂田和也はふっと笑い声を漏らした。

「こっちが聞きたい。お前こそ、なんで俺の...

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