第263章

坂田和也はベッド脇に立ち、彼女の髪をほどきながら、冷えた声で言った。

「よくもまあ、ぐっすり眠ってたな」

小林絵里はその声で叩き起こされる。もともと寝起きは機嫌が悪いのに、そんな言い方をされたせいで顔色はいっそう険しくなった。上体を起こし、睨みつける。

「……なにか用ですか?」

仕事で忙しいんじゃなかったの。

だからって、わたしだって外でぼーっと突っ立っていられない。

この男、一日でも人に絡まないと気が済まないわけ?

今にも毛を逆立てそうな彼女を見て、坂田和也がふっと低く笑う。次いで手を伸ばし、寝癖でぐしゃぐしゃの頭をくしゃりと撫でた。

「支度しろ。出かけるぞ」

それだけ言...

ログインして続きを読む