第264章

本当は、年少者を雇うなんて規則で禁じられている。

けれど当時、その小さな女の子は店の入り口に意地みたいに立ち尽くして、絶対に言いふらしたりしないと何度も約束した。ただ生活費を稼ぎたいだけだ、と。

お客が来れば手伝います、と自分から動いて、手際もやけにいい。

それに彼女は言っていた。大学に合格して、安町を出るのが夢なんだって。

情にほだされた。受け入れはしたものの、正直、その言葉を本気にはしていなかった。

今どきの若い子で、どれだけ辛抱できるっていうんだ。

せいぜい数日働いて、しんどいって辞めるだろう。

……ところが、その子は三年も続けた。

佐川のおっさんはその子が大のお気に入...

ログインして続きを読む