第271章

 そのとき、少し離れた場所から、しなやかな影が一気に駆け込んできた。

 男たちは小林絵里を車へ運び込み、「今回は楽勝だな」と気を抜いた――その次の瞬間。

 ズンッ。

 二人のうち一人が頭を蹴り抜かれた。

 あまりに重い一撃だった。続けざまにもう一人も叩き落とされ、二人とも地面に転がって、そのまま意識を失う。

 庄司一火は服の乱れをさっと整え、スマホを取り出して男たちの写真を撮った。すぐに庄司玉輝へ送り、車内の小林絵里へ視線を移す。

 ――意識がない。

 庄司一火は眉を寄せると、先に地面へ散らばった食材を拾い集めた。それから小林絵里を抱き上げ、翡翠居へと足を向ける。

 フロント...

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