第277章

小林絵里が押し返そうとしても、男の身体は山みたいに重い。びくともしなかった。

「坂田和也、やめて……だめ、だめよ。わたしたち、離婚するんだから」

小林絵里は息が乱れ、それでも必死に意識を繋ぎ止める。

「じゃあ、もう離婚したのか?」

坂田和也はその言葉が気に入らない。今夜は少し酒が入っているうえ、腕の中には温かく柔らかな女がいる。熱が上がりきった視線で、彼女をねっとりと見据えた。

小林絵りの唇はキスで腫れ、澄んだ瞳には怒りが滲む。

「するのよ……離婚、する!」

「つまり、まだしてないってことだ。小林絵里、あのとき自分で言っただろ。忘れたのか?」

彼はキスを落としながら身を屈め、...

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