第281章

小林絵里は眉をひそめた。食事の場所が――孤児院?

「場所、変えませんか。わたし、戻りたくなくて」

斉藤子玄が目を瞬かせる。

「小林絵里、心配しなくていい。院長ママはいないから、気まずくならない」

彼は、彼女が戻りたくないのは立田芳子のせいだと思ったのだろう。

たしかに小林絵りが立田芳子のことを思うと足が重くなるのは事実だ。けれど、あの孤児院そのものに対しては――もう、特別な感情も薄れていた。

小林絵里は立ち上がり、ゆっくりと言う。

「……どうしても、孤児院じゃないとだめ?」

斉藤子玄は一瞬黙り、それから口を開いた。

「ここはさ、俺たちが一緒に育った場所だろ。……いい思い出も...

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