第283章

夏目夕子は彼の表情に気づくや、すぐに尋ねた。

「どうしたの? お弁当、口に合わなかった? もし嫌なら作り直すよ」

「夕子」

坂田和也は弁当箱から視線を外し、彼女の顔を見た。整った眉目。けれど、瞳の色は沈んでいる。

夏目夕子の指先が、無意識にきゅっと丸まる。

「和也、どうしたの? 急にそんなに真剣な顔して」

「さっき電話で言ったこと、ちゃんと考えたか?」

夏目夕子は笑顔を保てなくなり、そっと視線を落とした。

「和也……それ、二年前にあなた、わたしに約束してくれたじゃない」

声に滲むのは、わずかな悔しさ。まるで理不尽にいじめられたみたいに。

「二年前のは、俺も軽く聞いただけだ...

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