第284章

夏目夕子の笑顔は、とうとう保てなくなった。瞳の縁に涙が滲み、彼女は立ち上がって言う。

「それじゃ……お邪魔しました」

そう言い残し、踵を返して歩き出す。

けれど、その背中は今にも崩れ落ちそうで――スカートの裾から覗く義足が、やけに目についた。

坂田和也は淡々とその後ろ姿を眺め、瞳の奥に薄い嘲りを走らせる。

そのとき、夏目夕子が突然、痛みに声を上げた。

「わたしの脚……!」

義足の接合部を押さえ、顔色がさっと青ざめる。

いちばん近くにいた松本幸雄が慌てて支えた。

「夏目嬢、どうなさいました?」

「脚が……すごく痛い……急に、痛くなって……」

坂田和也が歩み寄る。

「病院...

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