第291章

いちばん怖かった時期は、もう過ぎ去った。

今さら泣いたって、何の意味もない。

車はほどなくして孤児院の門前で停まった。

立田芳子は上機嫌だった。小林絵里というクズを始末できた。本田智也も満足するだろうし、千惠を脅かす者もいなくなる。

鼻歌まじりに、手際よく動いていた。

「ドンッ!」

その瞬間、正門のほうから突如、腹に響くような破裂音がした。

「……何?」

立田芳子は固まり、慌てて外へ出た。目に入ったのは、ひしゃげて裂けた鉄門。まるで紙でも破ったみたいに、真っ向から壊されている。

数台の車が乱暴に乗り入れてきて、少し先で横一列に止まった。

「あなたたち、誰! ここは勝手に入...

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