第297章

  坂田和也はとっさに小林絵里を抱き寄せ、転がり込んできた人影をひょいと避けた。

  その人物は、床にどさりと倒れ込む。

  「和也……」

  か細い声が、悔しさを滲ませて響いた。

  坂田和也と小林絵里が床を見下ろすと、夏目夕子がみっともないほど慌てた様子で起き上がろうとしている。――しかも、義足が外れてしまっていた。

  小林絵里の瞳が、きゅっと縮む。

  坂田和也は眉をひそめた。

  夏目夕子は片脚で立ち、落ちた義足を見つめたまま呆然としている。次の瞬間、顔に広がったのは濃い悲しみと、拭いきれない劣等感だった。

  「ごめんなさい……驚かせちゃいましたよね? わたし……...

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