第310章

そう言い終えると、彼女は車を降りようとした。

だが、ドアはロックされたまま。坂田和也はすぐには解除しない。

小林絵里は怪訝そうに彼を見た。

坂田お婆さんに会いに来たんじゃないの?

もう着いてるのに、どうして降りないの?

坂田和也は細長い目を陰らせ、小林絵里を見据える。低く艶のある声で言った。

「小林絵里、お前って……どうしてそんなに冷たいんだ?」

「わたしが、冷たい? どうしてですか?」

冷たいのは、ずっと彼のほうじゃない。

車内に、しんとした静けさが落ちる。

坂田和也はそのまま彼女を見つめ続け、長い間を置いてから口を開いた。

「いいか。さっき俺に言ったこと……お婆さん...

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