第312章

小林絵里はこくりとうなずいた。「はい、雲おばさん」

高橋雲はやさしく笑みを浮かべる。「あなたたちは先に食堂へ。もうひとり、お客さまがすぐにいらっしゃるから」

そう言い終えるなり、使用人がひとりの女を案内して入ってきた。

来客の顔を見た瞬間、高橋雲の笑みがいっそう深まる。「噂をすれば影、夕子。どうしてこんなに遅かったの?」

夏目夕子はにこやかに言った。「おじさん、おばさん、お婆さま。お菓子とお茶を少し買ってきたんです。このお菓子、とても評判がよくて。おばさんとお婆さま、きっと気に入ってくださると思います。お茶は祖父の秘蔵のもので……おじさんにも味わっていただきたくて」

礼儀正しく穏や...

ログインして続きを読む