第314章

食卓の中で、いちばん――いちばん駆け引きとは無縁なのは、坂田お婆さんだった。

彼女は真剣な顔でご飯を食べ、時折小林絵里の皿におかずを取り分けてくれる。絵里を見る目はきらきらと輝いていて、まっすぐだ。

小林絵里はすぐに感情を押し込め、静かに箸を動かし始めた。

食後。

高橋雲が口を開く。

「和也、部屋は定期的に掃除させてる。先に絵里ちゃんを連れて上がって、慣れさせてあげなさい」

「……ああ」

坂田和也は淡々と応じ、立ち上がって二階へ向かった。

小林絵里もあとに続く。ちょうど、言っておきたいことがあった。

彼の部屋は二階の左手。扉を押し開けると、内装は彼のオフィスと同じだった。

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