第318章

小林絵里は夏目夕子の腕を乱暴に掴み、寝室の扉の前まで引きずるように連れてきた。室内にはベッドサイドランプがひとつ。黄ばんだ光が滲み、男はバスローブ姿でヘッドボードにもたれかかっている。襟元は大きくはだけ、唇には煙草。淡い青の煙がゆっくりと絡みつくように揺れていた。

「続けろ」

絵里は夕子を部屋の奥へ突き飛ばし、氷みたいに冷えた目で二人を見た。

手も足も、じわじわと冷えていく。

……は。

坂田家の本家じゃ、そんなに待ちきれないってわけ?

「夕子とは結婚しない」なんて言っておきながら。

振り向いたら、こんな形で――夏目夕子と並んで、平然とわたしの前にいる。

わたし、離婚するかどう...

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