第320章

庄司一火「……」

 命じられたとおりに動いただけだ。

 それで――俺は、間違ったのか?

 ……

 小林絵里は、身体の内側が冷えたり熱くなったりするのを繰り返していた。

 耳元で誰かが喋っている気がするのに、言葉が掴めない。

 口の中に、ふいに苦いものを押し込まれ――反射的に吐き出した。

 「小林絵里?」

 声が、少しだけはっきりする。どこか聞き覚えもある。

 小林絵里は朦朧としたまま目を開け、高川寒彦の妖しく整った顔が視界いっぱいに迫っているのを見て、息をのんだ。

 「寒彦さん……どうして、ここに?」

 高川寒彦は眉を寄せる。

 「倒れてた。熱も出てる。薬、飲め。医者...

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