第326章

松本桜は果物を食べていた。

肩の銃創は少しずつ塞がってきている。けれど、ふと動かすたびにズキッと痛み、思わず顔をしかめてしまう。

古川修一が入ってくるのを見るなり、彼女は手にしていた種をすっと差し出した。

「これ、捨ててくれる? ありがとう」

古川修一の顔がみるみる曇る。

「俺をお前の使用人扱いか?」

松本桜はきょとんと彼を見た。

「でも、ゴミ箱……遠いの」

その無邪気で罪のない大きな瞳に見つめられ、さらに自分への「一途さ」まで思い出してしまい、古川修一はどうしようもなくため息をつく。結局、歩み寄って種を受け取り、そのままゴミ箱へ放り込んだ。

そして言う。

「俺はY市に戻...

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