第328章

月が言った。「奥様、丸一日お部屋から出てこられません。お運びしたお食事も、手をつけていないんです」

「……ふん」

坂田和也は鼻で笑った。

小林絵里――ハンストで抗議、ってわけか。

そんなことをしたら、俺が心を痛めるとでも?

端正な顔が陰り、和也はそのまま二階へ向かった。

寝室の扉を開ける。中は真っ暗だ。彼は入口に立ったまま照明も点けず、冷え切った声だけを落とす。

「小林絵里。大人しくしてろ。俺の機嫌を損ねる真似はするな。……さもないと、生き地獄を味わわせる」

だが、返事はない。

無視か?

和也の表情がさらに険しくなる。

「小林絵里。口がきけなくなったのか?」

暗闇に目...

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