第329章

医師は小林絵里を診察し、感情を激しく揺らさないよう言い含めた。それは回復の妨げになる、と。

しばらく咳き込んだあと、ようやく落ち着いたものの、彼女はひと回り痩せていて、ひどく弱々しく見えた。小さく、哀れなくらいに。

坂田和也は薄い唇を一直線に結ぶ。

ここまで重いとは思っていなかった。

しかも、丸一日なにも口にしていない。

坂田和也は顔を冷やしたまま、病室を出ていった。

彼がいなくなると、小林絵りは少しだけ肩の力を抜いた。本当に怖いのだ。いつ、どこで、あの男が癇癪を起こすかわからない。

ぐぅ、と胃が鳴る。空腹は耐えがたい。スマホでデリバリーでも頼もうと手を伸ばして――そこで気づい...

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