第345章

電話の向こうの声は、どこか気だるい。

「ボス、俺いま休暇中なんだけど……」

坂田和也は冷たく言い放った。

「休ませるかどうかは、俺が決める」

「……」

小林絵里はスマホを握りしめたまま、どう考えても胸のざわつきが消えない。けれど松本桜がどこにいるのかも分からず、結局は力なく息を吐くしかなかった。

そのときだった。着信音が鳴る。画面を見て、絵里は思わず目を見開く。

家の買い手からだ。

「もしもし、庄司嬢」

柔らかな笑みを含んだ声が返ってくる。

「小林嬢、突然お電話してしまってすみません。でも、あなたとは気が合いそうだなって思って。もしお時間があるなら……お茶でもどうですか?...

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