第346章

小林絵里が中へ入ると、思った以上に広々としていた。以前このフロアを使っていた会社のデスクや椅子もそのまま残っているが、きちんと手入れされていて、埃ひとつない。

彼女は窓際まで歩き、外の景色をざっと眺めた。

「どう?」

庄司玉輝がたずねる。

小林絵りは庄司玉輝を見て、「可もなく不可もなくですね。で、予算はどれくらいですか?」

庄司玉輝は口元をつり上げて笑った。

「予算なんてないよ。居心地がよければ、ここに決める」

小林絵里は眉を上げた。――それなら、わたしを呼ぶ意味、ある?

庄司玉輝が言う。

「上にももう一つある。ほら、見に行こう」

「うん」

小林絵里は庄司玉輝について回...

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