第360章

  そのとき、背後から足音が聞こえた。遠すぎず近すぎず――なのに、理由もなく胸がざわつく。

  周りには店もあるし、防犯カメラだってある。それでも、どうしても落ち着かない。

  これまで二度、嫌な目に遭っている。警戒心が先に立って、歩みを速めた。すると後ろの足音も、同じように速くなる。

  小林絵里は、振り返ることすらできなかった。

  コンビニが見えた。彼女は迷わず、そこへ駆け込む。

  自動ドアの内側へ滑り込んで、ようやく振り返った。案の定、男がひとり、後ろについてきていた。だが絵里が店に入った途端、男は中へ入らず、外で足を止める。

  心臓がうるさい。息が浅くなる。

  ...

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