第361章

小林絵里は家に戻るなり、玄関に入ったところで松本桜から電話がかかってきた。

「絵里ちゃん、もうすぐ帰るよ。何か食べたいものある? こっち、けっこうおいしいもの多いんだ」

弾むような桜の声が耳に届く。

さっきまでケガのことが頭を離れなかったのに、その元気いっぱいの声を聞いた途端、胸のつかえがすっとほどけた。

「桜が適当に選んで持ってきて。わたし、何でもいいよ」

「じゃあ絵里ちゃんの好きそうなのにするね」

「うん」

絵里はコップを手にソファへ腰を下ろし、スピーカーに切り替えて問いかけた。

「ケガ、もう完全に治ったの?」

「んー……」桜が間の抜けた声を出してから、明るく言う。「も...

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