第364章

  さっきの険悪な電話を思い出して、小林絵里は本当は扉なんて開けたくなかった。けれど、もう深夜だ。外の彼は――開けるまで叩き続ける、とでも言いたげな顔をしている。

  小林絵里はため息まじりに鍵を外し、扉を開けた。

「……また何しに――ん……」

  言い切る前に、長身の体がぐっと覆いかぶさってくる。熱い手のひらが頬を包み、乱暴なくらいのキスが降ってきた。

  重い。圧される感覚に抗えず、絵里は後ずさる。ふくらはぎがソファに当たった瞬間、膝が折れて、そのまま座面へ沈み込んだ。

  その間ずっと、坂田和也は彼女を離さなかった。

  灼けるような口づけ。息が絡みつき、吸い尽くされるみた...

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