第370章

小林絵里は、やはりどこか引っかかっていた。

 少し沈黙してから、佐川のおっさんを見つめて尋ねる。

「もし――いつか、佐川海斗が潔白だとわかったら。今日の決断、後悔しますか?」

 佐川のおっさんは答えない。

 部屋の空気が、ずしりと重くなる。

 小林絵里は淡く息を吐き出し、言った。

「佐川のおっさん……駅までお送りします」

 佐川のおっさんは無言のまま立ち上がり、荷物を提げて外へ向かった。

 態度は、これ以上ないほど明確だった。

 もう、佐川海斗のことには関わらない。

 小林絵りは、自分の胸の内をうまく言葉にできなかった。

 自分の子どもが何かを間違えたら――それだけで、...

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