第373章

小林絵里が言った。「桜、わたし……もう、彼のこと好きじゃないの」

松本桜は坂田和也への悪口をまだ続けるつもりだったのに、その言葉を聞いた瞬間、ぴたりと声が止まった。

「絵里……」

小林絵里はどうでもよさそうに笑ってみせる。

「好きじゃなくなったんだもの。外で何をしていようが、誰と一緒にいようが……わたしには関係ないわ」

松本桜の声が、やけに慎重になる。

「絵里……本当に、もう好きじゃないの?」

最初に坂田和也を見たときから、松本桜は知っていた。小林絵里の瞳の奥に、深い愛情が宿っていたことを。

坂田和也を見つめるたび、絵里の目はきらきらと光っていた。

けれど――坂田和也が記憶...

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