第407章

小林絵里が意識を取り戻したのは、ほんの一瞬だけだった。すぐにまた、ふわりと霞んでいく。

半分ほどしか開かない瞳。身体の力を抜いたまま、坂田和也の胸にとろりともたれかかる。熱を帯びた指先が彼の頬に触れ、かすれた声で囁いた。

「……カズ」

坂田和也の喉仏が、ごくりと上下する。指が、ほんのわずかに動いた。

小林絵里の身体がびくんと震え、次の瞬間には彼にしがみついていた。

柔らかな唇が彼の頬をかすめ、首筋へと落ちる。吐息が熱く肌に降りかかり、神経をじわりと煽った。

「小林絵里……俺に手を出したのは、おまえだろ」

坂田和也は低く言い切ると、そのまま彼女を抱き上げ、壁へ押しつけた。

彼女...

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