第414章

小林絵里の表情が、ふっと止まった。黙って彼を見つめ、凪いだ声で言う。

「わたしが『あなたがいないと泣く』って言ったら、どうするの?」

「ふ……」

坂田和也は声を漏らして笑った。瞳にたちこめていた濃い霧が、わずかに晴れる。

しばらく笑っていたかと思うと、彼はいきなり身を屈めてきて、絵里のうなじをつかんだ。そのまま、強引に唇を塞ぐ。

冷たいのに熱い、矛盾した息。覇道みたいに絵里の呼吸を奪い、容赦なく塗り替えていく。

不意を突かれた絵里は、ほんの少し身をよじった。

けれど和也は無理やり続けたりしない。ただ、それだけで唇を離した。

鼻先が触れ合うほど近い距離。呼吸は深く、重い。

「...

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