第415章

病室。

坂田和也が入ってくると、夏目夕子がベッドにうつ伏せになっていた。血の気のない顔色。

傍らには坂田正義と高橋雲。何か言い聞かせるように、彼女に話している。

和也の姿に気づいた高橋雲が声をかけた。

「和也、来たのね」

夏目夕子も顔を上げ、縋るような眼差しで和也を見た。せめて一欠片でも、心配の色をその顔に見つけたくて。

けれど――ない。

坂田和也の表情は、氷みたいに冷たかった。

椅子を引いて腰を下ろす。長い脚を組み、淡々と訊く。

「物は?」

夏目夕子は青白いまま、唇を震わせた。

「和也……わたしのこと、少しは心配してくれないの?」

「物は?」

声が、さらに冷える。...

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