第420章

彼女は媚びた笑みを浮かべる。

――嘘くさいにもほどがある。

古川修一はまるで取り合わず、だるそうにソファへ身を沈めた。彼女が指先でグラスをつまみ、ふらふら揺らしているのを眺めながら、淡々と言う。

「俺に酒こぼしたら、舐めて拭けよ」

松本桜「……」

くそっ。

こいつ、あたしの魂胆を読んでやがる!

松本桜は慌ててグラスをしっかり握り直した。

「そんなこと、するわけないじゃないですか。心から乾杯したいだけですし、そんなバチ当たりな真似、しませんよ」

古川修一は鼻で笑い、それ以上は追及せずにグラスを持ち上げ、彼女のそれと軽く合わせた。

松本桜は、彼が手を上げて一気に飲み干すのを見...

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