第422章

「んっ!」

 小林絵里は気づかないまま、口の中にまた葡萄を押し込まれた。

 須藤星皓に不意打ちで食べさせられたときは反応する間もなかった。だが今は違う。胸の奥までじわりと広がる、濃い屈辱。

 坂田和也は、わざと恥をかかせている。

 絵里は葡萄をぺっと吐き出した。

「坂田和也、あんた頭おかしいんじゃない!」

 彼の体から身を起こそうともがく。こんなふうに密着したくなんて、これっぽっちもない。

 だが坂田和也は許さなかった。吐き捨てられた葡萄に目を落とし、その瞳に氷みたいな冷たさが差す。

「小林絵里……死にたいのか?」

 ほかの男がくれた葡萄は食うのに、俺のは食わない。ふざける...

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