第423章

スーツのジャケットがそのまま彼女の肩に掛けられ、強いのにどこか清冽な香りが、彼女をすっぽり包み込む。

「小林絵里。これが最初で最後だ。次にまたこんな場面を俺が見つけたら……お互い無事じゃ済まない」

坂田和也は立ち上がり、見下ろすように彼女を見た。冷え切った瞳に、温度は一滴もない。

小林絵里はその気配に呑まれたまま、何も言えなかった。

坂田和也は背を向け、そのまま歩き出す。

返事なんて、どうでもいい。

口にした以上、彼女はやるしかない。できないなら――俺は容赦しない。

それに、あの男はもうY市に置いておく必要がない。

小林絵里は黙ったまま彼のあとを追い、個室を出た。エレベーター...

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