第428章

電話が切れた。

レストランの中には、ほのかな料理の匂いがふわりと広がっている。

小林絵里の小さな顔は驚くほど穏やかで、箸の動きまで落ち着いていた。

悲しくもない。怒ってもいない。まして傷ついた素振りなど、どこにもない。

その静けさが、かえって怖かった。

一方、坂田和也の顔色はみるみる悪くなり、スマホを握る手がかすかに震える。

彼女の何気ない態度の一つ一つが、こう告げている気がした。――もう、あなたを愛していない。

坂田和也は勢いよく立ち上がると、そのまま店を出ていった。

外から車のエンジン音が響いた、その瞬間になってようやく、小林絵りの食べる手が止まる。目の前の料理を見つめ、...

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