第436章

小林絵里ははっとした。古川修一は松本桜を、あのまま寝室へ連れて行ったのだ。

すぐにでも向かおうとした、その瞬間。

坂田和也が前に出て、行く手を塞いだ。

「どいてください」

小林絵りはきっぱりと言い放つ。表情は硬く、冗談の余地などない。

だが坂田和也は彼女の手をつかみ、声を落とした。

「今入ったら、向こうも気まずいだろ」

小林絵里の動きが、ぴたりと止まる。

坂田和也は続けた。

「そういうのは、どっちも納得してるから起こる。嫌なら、誰にも強要できない」

「……」

小林絵里は眉を寄せ、寝室のほうを一度だけ見た。けれど結局、足は向かなかった。

松本桜の肌に残る艶めいた痕。あの...

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