第438章

坂田和也は深い闇を湛えた眼差しで、まだ頬に紅が残る彼女を見据えた。

「いい。なら、俺が自分で片づける」

そう言うなり、彼はベルトのバックルを外す。

カチリ、と乾いた音。

小林絵里の呼吸がひゅっと揺れて、車内の空気が急に薄くなった気がした。喉がからからで、唾さえうまく飲み込めない。

次の瞬間、手首をぐいっと引かれる。

「……何するんですか?」

小林絵里は驚いて、反射的にもがいた。

坂田和也は細い目を冷ややかに細めたまま、彼女を見つめる。

「自力でやってるだけだ」

「あなた……っ」

言い返そうとして、頬が一気に熱くなる。指がきゅっと縮こまり、そこから妙な熱が波みたいに広がっ...

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