第442章

坂田和也がふと視線を向けると、彼女の表情はすっかり冷え切っていた。瞳も、いまは霜を張ったように硬い。

――いま「帰れ」と言えば、彼女は迷いなく去るだろう。

坂田和也の端正な顔が沈む。低い声で言った。

「他人の目なんか、気にするな」

小林絵里は彼を見て、口元だけを薄く持ち上げた。けれど笑みは瞳に届かない。

「坂田和也。わたしがこんな目に遭ってるの、全部あなたのせいよ。慰謝料、払って」

「……金のことしか頭にねぇのか?」

小林絵里は肩をすくめる。

「恋なんて、もういらない。じゃあ、お金くらい求めたっていいでしょ?」

その言葉に、坂田和也の顔色はさらに険しくなる。周囲の空気まで、...

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