第443章

「あの人が坂田和也の奥さんだって。けっこう綺麗じゃない?」

「ちょっと顔がいいのをいいことに、ずっと坂田和也にまとわりついてるんでしょ。噂じゃ、記憶喪失の坂田和也を助けて、そのまま結婚したとか。で、記憶が戻ったら今度は何がなんでも離婚しないって」

「ちぇっ。金のなる木を掴んだら、そりゃ簡単に手放さないわよね」

「見てなさいよ。坂田家はあの女に取り憑かれたんだから」

「……」

ひそひそとした声が、周囲から立ち上った。

小林絵里に向けられる視線は、探るものか、侮るものか。好意的なものはひとつもない。

小林絵里はそれをすべて目に入れながら、そっとまぶたを伏せた。小さな顔には、礼儀正し...

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