第445章

坂田和也は冷淡に「うん」とだけ返した。

口では応じたものの、階段へ向かう気配はない。代わりにスマホを取り出し、小林絵里へ電話をかける。

彼女がいなくなれば、確かに気は楽になる。だが、一言くらい告げるのが筋だろう。何も言わずに消えるなんて――最初から俺のことなんて、どうでもよかったってことか?

コール音のあとに聞こえてきたのは、電源が入っていないという無機質な案内だった。

……電源、切ってるのか?

坂田和也の眉間に皺が寄る。

動かない彼を見かねた使用人が声をかけた。

「和也様、先生は南様の件でお呼びです。お早めにお上がりください」

坂田和也の深い瞳に冷えた色が差す。重たい圧に押...

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