第464章

  坂田和也はそう言ったきり、電話を切らなかった。向こうで車のドアを開けて降りる音がして、続いて――駆けるような足音が響く。

  小林絵里は携帯をきつく握りしめたまま、もう一度「閉」ボタンを押し続けた。

  今度こそ。

  エレベーターの扉が、すっと閉じる。

  宙づりだった心臓が、一気に落ち着いた。

  「……閉まった」小林絵里が声に出した瞬間、脚に力が入らないことに気づく。膝ががくがくするほどだった。

  坂田和也が低い声で言う。

  「一階に着くまで出るな」

  「……うん」

  小林絵里は短く返事をして、やはり電話は切らなかった。

  ほどなくして一階に到着する。...

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