第481章

小林絵里は反射的に振り返った。まだ骨組みだけの建物が何棟も並ぶばかりで、それ以外に目に入るものはない。

――なのに、あの視線だけはやけに生々しかった。

勘違いのはずがない。小林絵りはそう確信していた。

じりじりと焼けるような日差しが肌を刺す。そのはずなのに、背筋には薄い寒気が走る。

もう晩秋だ。彼女はベージュのトレンチコートの前をきゅっと寄せ、足早に前へ進んだ。

危ない場所なら、さっさと確認して帰るだけ。

……

工事現場の門前に高級車が何台も並び、現場監督がへつらうような笑みを浮かべて安全帽を差し出した。

「坂田社長、ここは危険ですのに……どうしてわざわざ?」

黒いコートに...

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