第484章

「つまり……離婚したって、あなたは私の気持ちなんて少しも考えてくれないってこと?」

 小林絵里の声はひどく小さかった。風にさらわれたら、そのまま消えてしまいそうなほどに。

 坂田和也は彼女の手首を掴む力をわずかに緩めて言う。

「小林絵里。もう一度、俺を受け入れることを考えろ。復縁しよう」

 絵里は勢いよく腕を引き抜いた。

「ありえない。復縁なんて、絶対にしない!」

 瞳に宿るのは、骨の髄まで凍りつくような冷たさ。言い捨てると、彼女は踵を返して足早に去っていった。

 坂田和也は空っぽになった自分の手のひらを見つめ、目の奥に陰が落ちる。彼女が消えた方角へと視線を上げ、ふたたび煙草を...

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