第485章

江口寧々の声はやけに柔らかく、申し訳なさそうに言った。

「すみません。彼はいまお風呂に入っていて……出てきたら、お電話があったことをお伝えしますね」

小林絵里は眉を上げる。

「どこで、お風呂に入ってるの?」

江口寧々は一瞬、言葉を失った。ここまで艶っぽく聞こえる言い方をしておいたのに、まだ突っ込んでくるのか。

それでも、彼女は答える。

「ホテルです」

「ホテルで、なにしてるの?」

「……」

江口寧々はスマホを見つめた。電話の向こう、本当に小林絵里なのだろうか。

前に会ったときと、なにかが違う。

普通の女なら、こんなやり取りを聞いた時点で電話を切る。そうじゃないのか。

...

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