第486章

松本桜は彼女を見つめ、瞳の奥に痛ましさが滲んだ。

「絵里、最初から分かってたら、あんなクソ野郎拾って帰らなかったのに」

小林絵里は困ったように笑い、

「だからね、道端の男は軽々しく拾っちゃダメってこと」

「……」

坂田和也から電話がかかってきたとき、二人はシアタールームで映画を観ていた。

小林絵里はスマホを一瞥し、松本桜に言う。

「先に観てて。ちょっと電話」

松本桜はうなずき、手をひらひらさせて行けと促した。

小林絵里は部屋を出て、ドアを閉める。すぐに通話を繋いだ。

「もしもし?」

低く艶のある声が耳に落ちてくる。

「俺に何の用だ」

小林絵里は尋ねた。

「お風呂、...

ログインして続きを読む