第490章

  修一のスマホはホーム画面のまま、手のひらに沈んでいた。雪雪にメッセージを送ろうとして、指先が宙で固まる。何分たっても、文字はひとつも打てない。

  苛立ちに任せてスマホを放り、酒棚からボトルを一本引っ張り出した。栓を抜き、グラスへ注ぐなりあおる。

  辛い液体が喉を焼き、ひやりとした感覚が胸のもやを押し流した。古川修一は、そのまま一杯を飲み干す。

  ……

  松本桜がマンション群の敷地を抜けた瞬間、ふっと息をついた。

  眉がきゅっと寄る。古川修一、いったい何に取り憑かれたのだろう。

  たかが、二回寝ただけだ。まさか、それで情が移ったとでも?

  ぞわり、と背筋が粟立つ...

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