第491章

坂田和也の顔から、霜がさらに一枚ぶ厚く張りついたようだった。温度の欠片もない視線が、彼女を射抜く。

――ずっと、帰ってくるのを待っていたのに。

それなのにどうだ。

三十分経っても姿は見えない。直接メッセージを送っても既読すらつかず、電話をかけても応答なし。

その瞬間、全身の血が凍りつくかと思った。

人を動かして足取りを追わせた。だが上がってきた結果は――彼女が誰かと映画を観ている、だった。

映画一本観るのが、そんなに忙しいのか。

返信の一つもできないほどに?

「乗れ」

坂田和也が氷みたいに言い放つ。

小林絵里はスマホをトレンチコートのポケットに押し込み、首を横に振った。

...

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