第494章

坂田和也から持ちかけられた話を、小林絵里は三日間考えた。けれど、結論は出ないままだった。

その日の午後、坂田お婆さんから電話が入る。

意外に思いながら、絵里はすぐに尋ねた。

「どうされましたか?」

受話器の向こうから、しわがれた声が返ってくる。

「何だい。離婚したら、もうこの婆さんの顔も見に来ないってのかい? ……あたしも前は、言い方が悪かった。覚えてないこともあるしね。和也が色々話してくれたよ。あんたを疑ったのは、あたしの間違いだった」

絵里はさらに驚いた。あれほど誇り高い坂田お婆さんが、まさか自分に謝るなんて。

――槍でも降るのかしら。

とはいえ、病気を抱えたお年寄りだ。...

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