第496章

夜の帳が下りる。

小林絵里はうつらうつらと目を開けた。まだ病室の中だ。坂田お婆さんは、やっぱり戻っていない。

身体を起こし、灯りを点ける。

ぼんやり意識が整った、その瞬間。病室のドアが開いた。坂田お婆さんが帰ってきたのだと思い、反射的に振り向く――入ってきたのは、男が二人。黒服のボディガードだった。

「小林嬢。大奥様が外でお待ちです」

けれど小林絵里は、今度こそ坂田お婆さんの言葉を信じなかった。ソファに腰を下ろし、淡々と返す。

「こんな時間に、大奥様はまだお休みにならないんですか。もう晩秋ですよ。ご高齢なのに、外で冷えて風邪でもひかれたら……」

ボディガードは、彼女がついてこな...

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