第500章

「バンッ!」

「バン、バンッ!」

コンテナが外から蹴りつけられ、鈍い音が闇に弾けた。誰かの耳に届かせようとする、必死の合図。

けれど、ここは廃れた埠頭のいちばん奥、砂浜のさらに奥だ。人影なんてあるはずもない。

砂浜にはゴミが散らばり、いくつものコンテナが無造作に立っている。潮が寄せては返し、じわじわと水位を上げて、やがてコンテナの底を呑み込んでいった。

遠く――。

路肩に停まる車のライトが白く眩しい。その車内で、夏目夕子は双眼鏡を構え、闇に沈むコンテナを見据えていた。口元に浮かぶのは、毒を含んだ笑み。

あと二時間もすれば、小林絵里は溺れ死ぬ。

あのクズは、とうに死んで当然だ。...

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