第503章

坂田和也はふいに身を起こした。澄んだ冷気みたいな圧が小林絵里をすっぽり覆い、彼は両手を彼女の体の左右に突いて、そのまま腕の中に閉じ込める。

突然の接近に、絵里の体は一瞬でこわばった。澄んだ水のような瞳に警戒を滲ませ、彼を見上げる。

「何するの?」

坂田和也はくっと笑い、切れ長の目で彼女を見据えたまま、低い声で言う。

「小林絵里。おまえ、いつから悪い子になった?」

絵里は口元をわずかに引いたが、浮かんだのは冷えた弧だった。

「わたしだって、こんなふうになりたくなかった。でも……みんなが、わたしを追い詰めるの」

本当なら、もっと単純に、気ままに生きられたはずだ。

彼が強引に踏み込...

ログインして続きを読む